お宮参りは神社で行うものと思われがちですが、赤ちゃんの「初参り」としてご祈祷を受け付けているお寺も少なくありません。結論からいえば、神社とお寺のどちらでも受けられます。選ぶときは、受付日時・予約の要否・謝礼の呼び方の3点を参拝先の公式案内で確認してください。家族の信仰や縁、赤ちゃん連れでの行きやすさ、ご祈祷の受付条件を比べて、家族が気持ちよく祝える場所を選びましょう。
お宮参りは神社とお寺のどちらでもよい
赤ちゃんの誕生を報告する初参りにあたるご祈祷は、神社だけでなくお寺でも受けられます。どちらで行うべきかを全国一律に決めるルールはなく、家族の信仰や地域の習慣に合わせて選んでください。
違いが出るのは主に呼び方です。神社では「初宮詣(はつみやもうで)」「初宮参り」「お宮参り」と呼ばれ、神社本庁も出産と育児に関する神事のひとつとして初宮詣を解説しています。お寺では「初参り」「初まいり」「お初まいり」などの名称で案内されます。呼び方は違っても、誕生を報告し、健やかな成長を願う家族の思いは共通です。お寺での由来は初参りとはの記事で解説しています。
ただし、赤ちゃんのご祈祷を受け付けているかは寺社ごとに異なります。候補が決まったら、公式サイトや電話で受付の有無を確認するところから始めましょう。準備の全体像はお宮参り・初参りの寺社選びガイドにまとめています。
神社・お寺を選ぶ4つの考え方
軸は「信仰と縁」「安産祈願とのつながり」「赤ちゃん連れの行きやすさ」の3つです。実際の家庭でよく使われる4つの考え方を紹介します。
1. 地域の氏神さまへお参りする
昔から地域を見守る氏神さまへ赤ちゃんの誕生を報告する、もっとも伝統的な考え方です。自宅から近い神社なら移動時間が短く、産後間もないお母さんと赤ちゃんの負担を抑えられます。有名神社と迷う場合は氏神さまと有名神社はどちら?を参考にしてください。
2. 菩提寺・縁のあるお寺へお参りする
代々お世話になっている菩提寺や、家族が信仰する宗派のお寺で初参りを行う選択です。ご先祖さまに赤ちゃんの誕生を報告できる意味合いがあり、菩提寺のあるご家庭で選ばれることがあります。ただし、檀家以外の受け入れや予約の要否はお寺ごとに異なります。まず住職に初参りの習慣があるか相談してみてください。
3. 安産祈願を受けた寺社へお礼参りを兼ねる
妊娠中に安産祈願を受けた神社やお寺へ、無事の出産報告とお礼参りを兼ねて初参りをする方法です。安産の観音さまとして知られる兵庫県宝塚市の中山寺は、公式サイトで「初参り(お宮参り)」を案内し、生後1か月を目処に、安産のお礼参りを兼ねてもよいと明記しています。安産祈願の流れは安産祈願ガイドを参考にしてください。
4. アクセス・設備・撮影条件で選ぶ
産後1か月前後のお母さんと赤ちゃんにとって、移動のしやすさは信仰と同じくらい大切な条件です。車での所要時間、駐車場、駅からの距離、境内の段差、待合室、授乳やおむつ交換の場所、ご祈祷中の撮影可否まで比べると、当日の負担を大きく減らせます。天候が崩れたときの動線は雨の日のお宮参りの記事で紹介しています。
神社とお寺の比較表
神社とお寺の違いは、お参りの対象・拝礼の作法・謝礼の呼び方の3点を押さえておくと当日迷いません。下の表で当日の動きを確認しておきましょう。
| 比較項目 | 神社 | お寺 |
|---|---|---|
| 案内名称の例 | 初宮詣・初宮参り・お宮参り | 初参り・初まいり・お初まいり |
| お参りの対象 | 神さま(氏神さま・ご祭神) | 仏さま・ご本尊 |
| 拝礼の基本 | 二礼二拍手一礼が一般的。神社ごとの案内を優先 | 合掌して一礼。拍手はしない。宗派・寺院の案内を優先 |
| 謝礼の呼び方 | 初穂料・玉串料 | ご祈祷料・お布施 |
| のし袋の表書き例 | 「初穂料」「御初穂料」 | 「御祈祷料」「御布施」 |
| 檀家・氏子でなくても受けられるか | 松陰神社・近江神宮のように参拝者向けの受付方法を公開している神社があり、氏子に限る旨の記載は確認していません。条件は各社の案内で確認を | 川崎大師・成田山新勝寺のように檀家でなくても申し込めると案内するお寺があります。宗派・寺院によっては檀家に限る場合があるため要確認 |
| 確認したいこと | 赤ちゃんのご祈祷の有無、予約、料金、社殿・本堂に入れる人数、設備、撮影ルール | |
お寺では「拍手をしない」の一点を覚えておけば大きく迷いません。のし袋の準備は初穂料の包み方・書き方・渡し方、成り立ちや建物の違いは神社とお寺の違いもあわせてご覧ください。
初参り・お宮参りを受け付けている寺社の例
「お寺でもいいの?」という不安には、公式案内の実例がいちばんの答えです。2026年9月時点で確認できた寺社を紹介します。
お寺の例
- 川崎大師 平間寺(神奈川県川崎市):「初まいり」を大本堂内の稚児大師尊像前で毎日ご祈祷。予約不要で当日受付できます。
- 成田山新勝寺(千葉県成田市):「お初まいり祝祷」として案内。額に御本尊不動明王の御印紋を授かる、お寺ならではの儀礼があります。
- 中山寺(兵庫県宝塚市):「初参り(お宮参り)」を案内。生後1か月を目処とし、安産のお礼参りを兼ねてもよいと記載があります。
- 帯解寺(奈良県奈良市):「初参り(お宮参り)」は電話で要予約。安産祈祷は予約不要・来院順ですが、初参りと七五三は予約制です。
神社の例
- 東京大神宮(東京都千代田区):「初宮参り」の初穂料は10,000円と公式サイトに明記。安産祈願(5,000円より)と区分が分かれています。
- 住吉大社(大阪府大阪市):ご祈祷の種類に「安産祈願」「初宮まいり」を掲載。安産祈願からお礼参りまで同じ神社で続けやすい構成です。
同じお寺でも、川崎大師は予約不要、帯解寺は予約制と条件が違います。金額も、東京大神宮のように公式サイトで明示する例と、中山寺のように電話で案内する例があります。金額が見つからないときは、問い合わせて確認してください。
予約前に確認すること
神社でもお寺でも、確認する項目は同じです。問い合わせの前に次のリストをメモしておくと聞き漏らしがありません。
- お宮参り・初参りのご祈祷を受け付けているか(名称が違っても内容は同じか)
- 予約が必要か、当日受付ができるか、受付時間はいつまでか
- 初穂料・ご祈祷料の金額と、現金かのし袋かの納め方
- 社殿・本堂へ入れる家族の人数と、祖父母も一緒に昇殿できるか
- ご祈祷の所要時間と、待合室・空調の有無
- ベビーカー、授乳、おむつ交換、駐車場の設備
- 境内やご祈祷中の撮影可否と、外部カメラマン同行の申請方法
設備は公式サイトに載っていないことも多いので、電話で聞くのが確実です。赤ちゃん連れで見ておきたい設備は赤ちゃん連れの神社設備チェックリストにまとめており、お寺でも同じ項目をそのまま使えます。
参拝作法は現地の案内に従う
神社では二礼二拍手一礼、お寺では合掌して一礼し拍手はしない、というのが基本です。ただし、どちらも現地の案内があればそちらを優先するのが正解で、作法を暗記していなくても心配はいりません。
神社では鳥居で一礼し、手水舎で清め、拝殿で二礼二拍手一礼をします。お寺では山門で一礼し、本堂の前で合掌して静かに一礼します。宗派によって線香や焼香の作法が加わることもあるため、その場の案内に従ってください。赤ちゃんを抱いている人は、深く頭を下げるより首を支えることを優先しましょう。神社での細かな手順は神社参拝の基本マナーにまとめています。
祖父母と希望が分かれたときは
「氏神さまへ行きたい」「家の菩提寺で行いたい」と両家の希望が分かれたときは、儀礼の正解を争うのではなく、赤ちゃんとお母さんの負担を基準に決めるのがいちばん穏やかです。
菩提寺を望む声も氏神さまを望む声も、赤ちゃんを思う気持ちは同じです。「今回はご祈祷を受けやすい方へ行き、もう一方へは後日参拝だけ立ち寄る」といった折衷案も選べます。日取りで六曜を気にする声があれば大安・仏滅と参拝日、誰を呼び誰が抱くかはお宮参りは誰を呼ぶ?誰が抱く?を話し合いの材料にしてください。
写真館・会食場所との移動も含めて選ぶ
お宮参り当日に写真撮影や会食を組み合わせるなら、寺社単体ではなく「一日の移動距離」で候補を比べてください。赤ちゃんの授乳やお昼寝のリズムを崩さないことが、当日を気持ちよく終える近道です。
写真館から近い、境内で出張撮影ができる、近くに個室のある会食場所がある、といった条件がそろうと赤ちゃんの待ち時間を短くできます。ご祈祷中の撮影可否や外部カメラマンの申請方法は寺社ごとに異なるので、出張カメラマンの同行の記事で聞き方を確認してください。詰め込みすぎず、撮影を別日にする選択も含めて組み立てましょう。時間配分のモデルはお宮参り当日のスケジュールにあります。
神社かお寺かで迷ったときの決め方
ここまで読んでもまだ迷うときは、次の3ステップで順番に絞り込んでみてください。
- 信仰と縁で絞る:氏神さま、菩提寺、安産祈願を受けた寺社の中に「ここへ報告したい」と思える場所があれば第一候補にします。両家の希望もこの段階で聞いておきます。
- 赤ちゃんの負担で絞る:移動時間、段差、待合室、授乳スペースを比べ、無理なく過ごせる方を残します。体調に不安があれば医師の指示を優先し、時期を遅らせても構いません。目安はお宮参りの延期はいつまでで解説しています。
- 当日の動線で決める:写真館・会食場所・自宅との位置関係を地図で見て、移動が少ない方に決めます。同点なら、予約不要で当日受付ができる方が段取りは楽です。
よくある質問
必ず地元の氏神さまへ行くべきですか?
氏神さまへお参りする伝統はありますが、必ず地元の神社でなければならない決まりはありません。家族の縁、移動のしやすさ、ご祈祷の受付条件から選んでください。
檀家ではないお寺でも初参りできますか?
川崎大師や成田山新勝寺のように、檀家でなくても初参りのご祈祷を受け付けているお寺があります。対応は寺院ごとに異なるため、公式サイトを確認し、不明な点は事前に問い合わせてください。
ご祈祷を受けず参拝だけでもよいですか?
参拝だけでも構いません。赤ちゃんの体調やお母さんの回復を優先し、ご祈祷は後日に改める家庭もあります。正式なご祈祷を希望する場合は、予約や受付時間を確認しましょう。
神社とお寺の両方へお参りしてもよいですか?
複数の寺社へお参りして差し支えありません。氏神さまと菩提寺の両方へ行く家庭もあります。同じ日に詰め込むと赤ちゃんの負担が大きいので、日を分けるか、一方は参拝だけにするなど無理のない形にしてください。
お寺の場合、のし袋の表書きはどう書きますか?
お寺では「御祈祷料」「御布施」などと書きます。神社の「初穂料」「玉串料」は神さまへの奉納を表す言葉なので、お寺では使いません。
神社とお寺で赤ちゃんの祝い着は変わりますか?
基本的に変わりません。祝い着(掛け着)やベビードレスは神社でもお寺でも同じように使えます。本堂に上がる際に靴を脱ぐことがあるので、大人は脱ぎ履きしやすい靴が向いています。家族の服装はお宮参りの服装で解説しています。
家族に合う神社・お寺を比較しよう
神社かお寺かという二択で悩むより、家族の思い、アクセス、設備、予約、ご祈祷、撮影条件を並べて比べる方が、納得のいく場所に出会えます。ハレまいりのお宮参り・初参りに対応する寺社検索で、お住まいの地域から候補を探してみてください。

